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20170815:”再現” 問題から想い起こす事 [ただの私見]

 科学技術の分野では、条件が同一であれば、何時でも何処でも誰がやっても同じ結果を再現出来る・・・これが "前提" となって、研究結果を積み重ね発展してきました。

 これが "生命科学" の分野では崩れかかっているそうです(日経紙:2017年7月31日付け記事:”生命科学、揺らぐ信頼 「研究成果再現できず」 深刻”:署名記事=永田好生氏)。

 伝統ある海外の科学誌出版社が調べた所、70%超の研究者が再現出来なかった経験を持っていたそうだ(1576人:2016年)。

 でも、"僅か" な違いが結果を左右する事は生命科学の分野に限らない ・・・ との経験は研究分野に限らず、生産現場においても起こり得る事(、もしくは起こっている事)は、素材メーカーに勤めた技術系の人間であれば多くが経験している筈だと想います。

 この "僅かさ" が、技術者の力量不足で見逃している場合だけとは "限らない" のが現実で、問題を複雑にしている。

 工業薬品(製造者や銘柄によって、JIS基準は満たしているものの、産地由来の極微量不純物が異なる場合等)とか、工業用水(地域・季節によって含まれているコロイダル・シリカの形態・量が異なる等)等々のユーティリティを始め、生産プラントの材質とか溶接部分の経年変化(=劣化)に基づく超微量の金属イオン類等の流出等、場合によっては分析にも引っかからずに、気がつきようのない要因が "ゴロゴロ" 転がっていて、同じ素材が生産出来ない・・・等の場合もあるのですが(:現役時代、自分は "泣く程" 経験しました)、これは企業からは "門外不出" で、同業分野の "共通知" とはなっていないのも現実です。

 この様な事が製薬とか医薬、それに食品食材加工現場で起こると、とてつもなく大きな問題になる事を私達は過去に何度も経験しています。

 "忘れない事" に加えて、"信頼に足るメーカーか"・・・等と常に懐疑的に対処する ・・・ "自己防衛" はこれに限る・・・のが些か悲しくて寂しい話です(それにしては賞味期限とか消費期限に敏感で無い自分なのですが (>_<) )。
 皆様もお気を付けて。


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