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20180208:”知能のゆくえ”(羽生善治さん) [ただの私見]

 先月末、持病の定期検診を受けに行きつけの病院へ出向いたところ、待合ロビーで "お持ち帰り自由" 冊子が置いてあって、あの将棋界トップ "羽生善治" さんが左手でセンスを持ちながら将棋の盤面を見入っている表紙のがあった:
  "Pipette 「臨床検査技師」って?":
    季刊誌ピペット 第18巻(2018年1月)

 この号に、NHKスペシャル番組:"天使か悪魔か - 羽生善治 人工知能を探る" の取材を基とした "同氏+番組スタッフ著作:人工知能の核心"(NHK出版新書:2017年3月)を背景に、生体制御学を専門とする方がインタビュー("知能のゆくえ")しており、概論ながらこれが放送されたスペシャル番組よりも遙かに面白い(新書はもっと面白いが・・・)。

 1996年には既に "コンピュータ将棋がプロを負かす日の到来"(=2015年)を予測し、 "ハードウェア(=ビッグデーターベース+計算能力が限り無く高度化されていくCPU)の進歩だけでも高度化できる" 事、加えて人間と違ってソフトウェアはボードゲーム全般の "アイデアを共有出来る事" から加速度的に強くなっていく必然性を指摘している・・・なるほど。

 更に、人間の知能による AI の活用とその限界への認識の重要性、AI の現実世界への進出に伴う課題(常識を持つ事の難しさ・恐怖心を持たない事・余りに人間に似てしまうと人間の方が退いてしまう事等)についても語っています・・・いやはやその深い知識・見解と言ったら!

 また興味深いエピソードとして、AI の IQ は 4K に迄昇り詰める可能性、絵画とか音楽の分野では特定の著名画家/作曲家の特徴を修学させればいくらでも似せた "フェイク" が可能で、目隠しテストしたら "バッハの曲よりも AI が作曲したバッハ風曲の方を人間は選ぶ" 等、AI の特質を言い当てる事例を豊富に紹介されている。

 今では、過去の経験だけに囚われる事無く、AI を活用した新戦法の研究等、最新技術の取り込みにも積極的かつ貪欲で、驚くべき柔軟な思考の持ち主の方の様だ。
 この方は、将棋の世界に入らずとも "純粋数学" の分野でも名をなす "知" の持ち主に違いない・・・そう感じました。
 凄い人がいるモンだ・・・とても敵わん。

ついでに:
 この方が "凄い" と言う例の藤井4段、将棋界をどのように昇り詰めていくのか、俄然関心が湧いた次第です。

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