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20180929:納得出来かねる(”ゲノム編集特許” が発明者でなく応用者だけへ) [ただの私見]

 多くの研究者・技術屋さんが “首をかしげる” のではなかろうか。 こんなんじゃぁ、やってられん!・・・って。

 遺伝子を自由自在に改変出来る所謂 “ゲノム編集技術”(*a) の特許権が、米国連邦高等裁判所の判断(2018年9月10日付け)によって ”発明者” ではなく、それに基づいた “改良者”(*b) に帰属しそうだ。 
   (*a):J.ダウドナ教授等@カリフォルニア大学バークリー校
      基本技術を開発(今日の “クリスパー・キャス9” の原型)
      自分には受け売り程度の知識しかありませんので、
      ここでの技術紹介は省略です・・・ m(_ _)m
   (*b):F.チャン博士等@ブロード研究所
      (*a)を基に改良を加えて “ヒト細胞” への応用技術を開発

 2017年2月に米国特許商標庁が開発者側に特許権を認めた事から発明者側が上訴した結果がこれだ(出自:日経紙2018年9月13日)。

 どんなに改良技術が優れたとしても、その基になった基本技術発明者の権利を一切認めない・・・これはおかしくないだろうか。

観点は少しずれるが・・・
 医薬の分野では、お薬の製造特許が切れた後は誰でもが自由に同じお薬を製造する事が認められている。
 所謂 “ジェネリック” と言われている奴だ。 “研究開発費が不要” だからオリジナル品よりもお安い事から、政府も積極的にその使用をすすめている。

 が、これとても普通20年はかかる新薬開発の当事者等にしてみれば心底納得している筈はなかろう。
 悔しさはゲノム編集技術に関しても同じだろう。 J.ダウドナ教授等の想いが推察されようってもんだ。

が、自分の経験では:
 基本特許を凌ぐ応用的、乃至は類似的な発明であっても特許として認められないケースも勿論あり得るのだが、恥ずかしながら自分は、一度だけその経験をしております。

 現役時代、素材製造特許に関わる件で、冒頭ゲノム編集技術特許紛争で言えば応用者側に近い立場で “敗戦” した事があった。
 担当していた有力な新素材製造特許を米国へ出願/審査請求した時、先行事例として “類似組成の素材” があるとの理由で否定されたのでした。

 どんなに機能発現機構が異なる事、それに高機能化されている事を説明しても審査担当者に理解して貰えなかった事があり、上訴するかどうかの判断を迫られたのですが、”諸般の事情” で諦めた事があります。 要すれば、裁判時、陪審員制度の下、その殆どが当該分野無知なアメリカ市民の前で理屈を披露しても通じない事が多い・・・との弁理士の判断に従った訳でした (>_<)。

 今度のゲノム編集技術裁判の場合は自分の経験とは違っていた。 どうも米国の特許権判定には解らない点が多い
 ・・・なんで、専門家の解説を探す事とします。


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