20190924:”真犯人” は ”別” の筈だが・・・(”黒井戸殺し”-三谷版 ”アクロイド殺し”) [ミステリ三昧]
三谷幸喜さんは、脚本家として類い希な才能の持ち主・・・と同時に、役者としても “怪演” が素晴らしい。
最近の映画 ”記憶にございません” の公開に合わせるかの様にフジTVでは昔の古畑シリーズとか映画を集中的に放映している。
と想っていたら、14日には “黒井戸殺し” を再放していた(初出:4月14日)。
余りにも有名なA.クリスティ:”アクロイド殺し”(発表年:1926年・・・何とっ!90年以上も前の事だ) の “J-版” だ。
クリスティのJ-版はTV朝日でも第一作:“そして誰も・・・”(*1:これは良かった)以降計4編が放映されているが、第二作以降は折角の原作置き換えシナリオ(含・役者陣)がちょっと・・・出来映えが残念。
超有名な作品ばかりなのでファンなら誰でもトリックを知っている事から “脚本の質” 次第で面白みが決まる。
とすれば自分の印象では三谷版の方(第一作:”オリエント急行殺人事件”(確か2015年)&第二作:”黒・・・”)が遙かに優れていた感じだ。
さて:
原作 “アクロイド殺し” では余り評判の良くない “仕掛け” が成されていて、当時は “フェア” か “アンフェア” かの議論が沸騰したらしい(これをなぞった “亜流版” が国内外多数ある)。
我が国でも評論家として頂点を成した故・小林秀雄氏が “騙された” 悔しさからだろう、“あれはインチキ” と一刀両断していた程だ。
が:
原作でH.ポワロが指摘する犯人は “不自然” かつ “矛盾” があり、本当の犯人は “**” だとする精神分析学の第一人者にしてパリ第八大学教授の論考書が出版され邦訳されている:
ピエール・バイヤール:”アクロイドを殺したのはだれか”
筑摩*房(初版:2001年9月15日・・・当方手持ち本)
(訳者:大浦康介@京都大学助教授(当時))
この書籍はフランス本国で1998年に発表され、すぐさま英訳され欧米では評判だったらしい(この論考の緻密さには恐れ入る)。
A.クリスティ氏が既に彼岸へ旅立って(没年:1976年)から20年以上も経っていての著作だけに反論が聴けないのが残念と言えば残念。
バイヤール論以降既に20年を越えているが、これを越える論考は誰からも発表されていないし、残念ながら我が国の推理小説評論家諸氏からのコメントは見聞きした事が “一切” 無い。
“名探偵” ポワロ氏が如何に “自己陶酔” し、”妄想” に耽り、それ故にどういう手順で “ミスった” のか、本当の “真犯人は誰だったのか”・・・興味おありでしたら是非ともご参照下さい。
ついでに:
“黒・・・” も三谷脚本では原作に忠実だったが、かっての “オリエント急行殺人事件” のJ-版の様に “2本立て” として、第二部では “バイヤール解釈編” があってもよかったのでは・・・と想う次第だ。
三谷さんなら見事な仕上がりが期待出来そうなのだが・・・
因みに:
“真の犯人” は、ポワロ氏が注意も関心も寄せなかった “文字通りに身近な” 人物で、黒・・・では超有名な**さんが演じていました(これじゃぁ解りませんが、まぁ、この程度でご勘弁を ・・・ m(_ _)m )。
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(*1):大分前のブログです:
20170430:3本の ”そして誰もいなくなった”
最近の映画 ”記憶にございません” の公開に合わせるかの様にフジTVでは昔の古畑シリーズとか映画を集中的に放映している。
と想っていたら、14日には “黒井戸殺し” を再放していた(初出:4月14日)。
余りにも有名なA.クリスティ:”アクロイド殺し”(発表年:1926年・・・何とっ!90年以上も前の事だ) の “J-版” だ。
クリスティのJ-版はTV朝日でも第一作:“そして誰も・・・”(*1:これは良かった)以降計4編が放映されているが、第二作以降は折角の原作置き換えシナリオ(含・役者陣)がちょっと・・・出来映えが残念。
超有名な作品ばかりなのでファンなら誰でもトリックを知っている事から “脚本の質” 次第で面白みが決まる。
とすれば自分の印象では三谷版の方(第一作:”オリエント急行殺人事件”(確か2015年)&第二作:”黒・・・”)が遙かに優れていた感じだ。
さて:
原作 “アクロイド殺し” では余り評判の良くない “仕掛け” が成されていて、当時は “フェア” か “アンフェア” かの議論が沸騰したらしい(これをなぞった “亜流版” が国内外多数ある)。
我が国でも評論家として頂点を成した故・小林秀雄氏が “騙された” 悔しさからだろう、“あれはインチキ” と一刀両断していた程だ。
が:
原作でH.ポワロが指摘する犯人は “不自然” かつ “矛盾” があり、本当の犯人は “**” だとする精神分析学の第一人者にしてパリ第八大学教授の論考書が出版され邦訳されている:
ピエール・バイヤール:”アクロイドを殺したのはだれか”
筑摩*房(初版:2001年9月15日・・・当方手持ち本)
(訳者:大浦康介@京都大学助教授(当時))
この書籍はフランス本国で1998年に発表され、すぐさま英訳され欧米では評判だったらしい(この論考の緻密さには恐れ入る)。
A.クリスティ氏が既に彼岸へ旅立って(没年:1976年)から20年以上も経っていての著作だけに反論が聴けないのが残念と言えば残念。
バイヤール論以降既に20年を越えているが、これを越える論考は誰からも発表されていないし、残念ながら我が国の推理小説評論家諸氏からのコメントは見聞きした事が “一切” 無い。
“名探偵” ポワロ氏が如何に “自己陶酔” し、”妄想” に耽り、それ故にどういう手順で “ミスった” のか、本当の “真犯人は誰だったのか”・・・興味おありでしたら是非ともご参照下さい。
ついでに:
“黒・・・” も三谷脚本では原作に忠実だったが、かっての “オリエント急行殺人事件” のJ-版の様に “2本立て” として、第二部では “バイヤール解釈編” があってもよかったのでは・・・と想う次第だ。
三谷さんなら見事な仕上がりが期待出来そうなのだが・・・
因みに:
“真の犯人” は、ポワロ氏が注意も関心も寄せなかった “文字通りに身近な” 人物で、黒・・・では超有名な**さんが演じていました(これじゃぁ解りませんが、まぁ、この程度でご勘弁を ・・・ m(_ _)m )。
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(*1):大分前のブログです:
20170430:3本の ”そして誰もいなくなった”