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20230224:学術論文査読インチキ事件(憤慨・・・プンプン) [雑感]

 所謂 "学術雑誌" に掲載される論文は、通常は掲載可否判定を当該分野専門家筋が雑誌編集委員等からの依頼を受けて匿名で査読して "可/妥当" と判断された結果によっている。
 厳しいレフェリー付き学術雑誌はそれに相応しい権威が与えられている。 査読の中立性や妥当性を確保する為に査読者は複数を原則としているケースが殆どだ。

 自分も過去に投稿論文を査読されたり、他の研究者の投稿論文を査読した経験がある。
 幸いな事に掲載拒否にあった投稿論文は無かったが、査読判定の方では "結論を下すにはデーター不足" とのコメントを付けて "一時保留" とした論文が一件だけあった。 これも幸いな事に投稿者が追加実験結果で補充して "めでたく" 掲載に至った事を覚えている。

 査読論文には研究者名が伏せられているが、引用論文等々で当該分野内であれば大凡の "察し" がつく場合が多い。 が、査読者が投稿者との直接コンタクトはルール違反との "暗黙知" が認識されているのが普通だ。

 が、最近はこれが無視され、通用していない様だ。
 共同通信社のネット配信記事(2023年2月17付け18:00配信)によれば、福井大学の某教授が自身の投稿論文の査読コメントを査読者からの問い合わせ/要請に応じて配下教官に書かせて、結果として投稿雑誌に掲載されたとの事だ。

 記事によれば、ここでは
   - 査読者による投稿者との直接コンタクト
   - 投稿者による配下教官への肯定的査読コメント作文指示

等に研究者倫理欠落が観られる・・・と感じるのは老生だけではあるまい。
 大学教授ともあろう者がここまで堕落しているとは・・・としか想いようが無い(泣)。
 こんな時代なのか・・・

ついでに:
 最近の先端分野では競争の激化が進んで "先手必勝" という訳でも無かろうに電子版速報誌への投稿が盛んと聴いた(査読無しケースが多い)。
 それだけ "先陣争い" に研究者生命を懸ける時代になっていて、自分の現役の頃とは様変わりしている様です。

もう一つついでに:
 大分前に "ハゲタカ・ジャーナル" がはこびっている事を投稿していましたが、レフェリー無しのこの種の雑誌は掲載料稼ぎのが多く、対外発表数を稼ぎたい若手研究者がひっかかるケースが多いと聴きます。
 若手の皆様・・・用心しましょう。

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