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20170314:"我が経験的" 官僚論 [ただの私見]

 少々お堅い話です。 

 最近、文部科学省の所謂 "天下り問題" が指摘されています(このブログ・コーナーでも触れられていました)。
 同省は実質的に学校関係だけに睨みがきく監督行政機関ですから、再就職先を大学等に確保すべく、あらゆる手段を駆使して手を尽くす事は、彼らの本能であり、行き過ぎて不祥事を起こす事になります。

 自分は民間企業に勤め、また某省外郭団体へ出向して現役を終えましたが、その間の経験から申し上げれば、学校法人を含む(あらゆると言っても良いでしょう)外郭団体や機関は、公益或いは一般の財団法人若しくは社団法人、その他諸々の法人であっても、所管元役人の貴重な “再就職先” となっている事は紛れもありませんし、無ければ業界に働きかけて新たに外郭団体を "作る" のです(最初は "任意団体" を作り、機を見て "法人" へ。法人格を取れば役所の公募事業等への応募も可能となるケースが多い)。

 入省・入庁したての若い役人は、本当にこの国を良くしたいとの想いを強くしている方が多いのですが、国の科学技術立国戦略に沿って意欲的な研究開発事業を興すものの、現実には成功率は極めて低く(*)、彼等の意欲がだんだんと萎んでいく姿を何回も眼にしました

(*) 但し、その成果報告書(原則公開)は成功を謳っている例が殆どです。
(これを "ペーパー・サクセス" と言います)。
そう整えなければ仕掛けた役人が何らかの形で責任を取らされます(減点制度ですから)。
昨日付ブログで "東ロボ君東大合格ならず" と開発者が公表した例は極めて珍しく、
恐らくは次年度以降の予算は削減される可能性が高いでしょう。


 彼等の多くが、数年経って係長を経て課長補佐クラスになって横を見始めると、同僚との競争意識に目覚め、”生き残りの術” を磨き始めるのです。

 退官者を含めて生き残れなかった多くの方々が省外・庁外や所管先の法人団体へ赴くケースが多いのですが、スペシャリストとして新たな活躍の場を得るケースも勿論あり、民間の(古い用語となりましたが)シンク・タンクにスカウトされる方は超がつく "切れ者" が多く、これは例外的にハッピーな方と言って良いでしょう。

 省内・庁内に生き残った方は課長職につき、更に上を目指すのですが、多くの場合、もうそこには日本を良くする意欲は感じられません。
 残念です。
 
 彼等の仕事の多くが、国会で催される各種委員会関係の資料集め・書類作成と言って良いでしょう(外郭団体が資料集めに扱き使われるケースが殆ど)。

 本来、紛う事無く優秀な方が中央省庁の役人になるケースが多い筈ですが、減点主義の人事制度がある限り、意欲的な活動は入省・入庁後の数年で終わってしまう。

 これが、自分が経験・見聞きした現実のなのです(自分限りであれば良いのですが・・・)。
 豊富な人材の宝庫なのに、活かしきれず、かつ無駄遣い以外の何ものでもありません。
 繰り返しますが、とても残念です。

 でも、多分、どこの国でも役人の世界は同じかも・・・


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