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20171109:”電気自動車” って簡単に生産できるのか? [ただの私見]

 最近のEV電気自動車)への関心の高さは凄まじい。
 フランスや英国を始めとする欧州勢に続いて中国、そしてインドもそう遠くない10年とか20年先に全面的にEVのみを走らせるつもりらしい。

 これ等の国では、ガソリン車製造では最早ドイツとか日本には適わないので無駄な競争は止めて、早めに新しいプラットフォームを固めて自国自動車産業の再構成を戦略化しているとも伝えられている。

 その上、消極的と見られていたドイツですら、先の選挙の結果、ガソリン/ディーゼル車両に反対する緑の党が連立に加わればEVへ舵を切り替えざるを得ない筈で、VW社も方針転換の模様と伝えられている(出所:日経紙:2017年11月2日付け朝刊総合面:"EV時代の足音2-欧州の覚悟")し、ついにダイムラー・ベンツ社もが米国内でEV生産工場を立ち上げる構想を公表している。

 経済産業省によれば、自動車の部品は、数え方にも依るが2~3万点前後で、EVではこのうち40%程が不要になり、自動車産業の構造が大きく変わり得るとしています。
 ベンチャーも立ち上がっているし、それに出資する形で家電メーカーとか家電大型販売業からも参画するところもある様です。

 EVでも必要とされる1~2万点程の部品の品揃えもそう簡単では無いと想うが、 パワートレインを始め、必要部品もモジュール化されて行くだろうから、バッテリーを含めて専門メーカーから買い集めてプラモデルの様に組み立てるだけで
  "EV いっちょあが~り"
の様な、安易な受け取られ方をしていないだろうか。

 EVも自動車である以上、走行性・操作性・安全性・耐久性・居住性等の基準は家電製品とは比較にならない程厳しいし、いずれは搭載されるようになる AI の設計も大変だ(米国の超巨大 IT 関連企業が苦心・苦労している程だ)。

 第一、一般大衆が購入する自動車では "コスト" も重要だし、EVの要となるバッテリーも、充電する時の電源由来(石油か石炭かバイオマスか、はたまた原子力か)、更に再生不能となって最終処理処分迄を含めた "資源及び環境負荷" だって "優しい" と確定されているとは言い難い。

 加えて、電極の素材である Li だってその産地は中国に偏在していると言う地政学的課題含みだし、更にそこだって無限に採掘される訳では無い。

 EVの先見性・将来性は十分に解っているつもりで、未来永劫、ガソリン車が・・・とは想いませんが、今の自動車産業が抱えている諸課題がEVで全て解決するなんて、そんなに簡単なモンでは無い筈。

 その上、一部のマニアとか気まぐれな資産家相手であれば、ベンチャーもどきがコストを気にせずに "手造り" 生産して提供していれば良いでしょうが、広く一般へ普及する為の前提となる "量産性" の壁は高いと想いますヨ(何故自動車が庶民の足になったのかは、 "T-型フォード" を想い起こしましょう)。

 結局は、乱立するであろうベンチャー等ではなく、今の自動車製造企業が核にならざるを得ない・・・と自分は考えています。

ついでに:
 本格的に普及した段階で、ベンチャー等の資本力の弱いところが "製造物責任" を完全に負担出来るとは自分には想えませんし、そもそも今のLi-バッテリーを代替する超高密度・超大容量電池が開発されるのが先決と考えます。

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