SSブログ

20230706:”略奪” 文化財の行方 [雑感]

 前から気になっていた所謂 "略奪文化財" の "本来の持ち主" への返還問題。 現状を俯瞰する記事が特筆だった:
   略奪文化財のいま①~⑤
   (日経紙:2023年6月26-30日付け朝刊文化紙面)

 ナチス・ドイツ軍が略奪した絵画等が第二次大戦直後の "どさくさ" に紛れて闇の世界に移り、人知れず個人収集家の手に渡ったままのが、当人の死後に家族が事情を知らずにオークションに出したりして表の世界に現れる・・・そんなケースがままあるそうだ。
 海外ミステリの中にはこれを扱った秀作がいくつかあるが、つい最近には我が国にも "実話" があった。 ナチスによりポーランドから持ち去られた絵画が東京都内で発見され、ポーランドに無償返還された例だ。 所有者も、それにどういう経路だったのかも詳細は報道されないが、来歴調査から略奪と特定された美術品が本籍地に戻るのは理に適っている・・・"今はそう言う時代だ" と老生は想う。

そう言えば・・・:
 古代ギリシャやローマ、更にはエジプト、中東の驚くような文化財を世界史で初めて知った時の驚きは今も鮮やかだ。
 現役の頃の数少ない海外出張の機会を捉えてルーブル美術館、大英博物館、そしてペルガモン博物館で教科書に載っているミロのビーナス、ロゼッタ石、そしてペルガモン神殿(部分)を目の当たりにした事があった時が正にその時だった(特にミロのビーナスは1964年に来日した事があって、その時も "瞬間的" に観た事もあったっけ)。

 が、同時にこれ等の文化財は発掘された現地から現在の展示国に持ち帰った文化財で、それが適切だったのか、酷く気になった事も事実だった。
 持ち帰った文化財の調査研究から古代史解明が進んだ事も事実だろうが、発掘地側が求める返還は欧州先進諸国の植民地政策の "ツケ" との指摘もあるようだ。
 現下では、マクロン大統領@フランスのみが、一部に限った事ではあるが、この種の文化財返還の意向を示しているだけだ。
 我が国にも該当する文化財があるのかどうか、気にかかる。
 無いでしょうなぁ・・・国家の "品格" に関わる問題であって、だからこそ不名誉を後の世代に残してはならない。
 メンツに拘らずに正確な来歴調査を期待したいものだ。

共通テーマ:日記・雑感