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20190218:本当に ”エシカル” なのかな?・・・少しだけ疑問(家庭でも脱プラ?) [ただの私見]

 “プラスチック製ストローウミガメの鼻に突き刺さった” 映像がSNSに投稿され、その世界中への拡散から海洋汚染の原因と指摘され、あげくはチェーン展開している大手飲食店がプラ製ストローを紙製に換えている。
 最初は米国、それに慌てて “追随” する形で我が国でも。

しかし乍ら:
 ①海洋流出している廃プラスチック全量(*1) に対して
  プラ製ストローは1%にも満たない
 ②従ってプラ製ストローを全廃しても廃プラによる海洋汚染は全く改善されない

事から、アカデミア側専門家からは店舗側のパフォーマンスに過ぎないとの指摘もある(ついでながら、海洋生物学者からは “ウミガメの生態からして考えられない映像だ” ・・・ との指摘もあるそうだ)。

 が、これをきっかけとして消費者が環境配慮商品を選ぶ “エシカル(倫理的)消費行動”(参照出典:日経紙2019年2月8日付け:”家庭にも脱プラの波 節約+環境志向で拍車”) が持続されれば良いんだが、残念ながら自分はこれには少々疑問だ。

と言うのは:
 某大手リテーラーの環境貢献を担当する部門長から “本音” を聴いた事があって、
   「消費者は “環境に良いモノを多少は高くても選ぶ” とアンケートとか
   インタビューでは応えるけれど、実際の消費行動は少しでも安い
   商品を買うのが現実」
だと。

また紙製といっても:
 国産端材由来なのか、海外から輸入したパルプ木材由来なのか、漂白剤とか成形加工助剤等の素材構成を公表しているのか、原材料栽培から最終処分迄をアセスメント評価してプラ製ストローよりも紙製ストローが “地球に優しい” 事を担保しているのか、未公表なのが残念だ。

私ら消費者は:
 勿論、たとえ僅かであってもプラスチック製ストローを海洋流出させない方が良いに決まっています。
 私たちはプラスチック製品の "3R"( "Reduce" = 使用量削減;"Reuse" = 繰り返し使用;"Recycle" = 再資源化)を真剣に考え、取り組む事が重要な筈です。
 そんな訳で、私ら消費者は、安易に煽(あお)られてはならない。
 そして安易に煽(おだ)てられてはならない。
 冷静かつ賢明な購買者にならないと・・・
 その上でのエシカルな行動者でありたいです。
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(*1):米国の研究者等によると(*2)、2010年時、人口64億人相当の国&地域からの
  廃プラ総量:2.75億トン・・・A
   - その内、回収された量:2.43億トン(Aの凡そ90%弱)
   - 自然界への流出量:3190万トン(Aの凡そ10%強)・・・B
      - その内、投棄/埋設等不法処理処分量:
         1920~2710万トン(Bの60~85%相当)
      - 海洋への流出量
         480~1270万トン(Bの15~40%相当)・・・C
と推定されている様です。

 因みにプラスチック製ストローの全世界消費量は大凡0.2万トン/年前後とされている(ナショナル・ジオグラフィック誌日本版WEBニュース:2018年7月11日付けより算定)ので、この全量が海洋流出したとしてもCの大凡0.02~0.04%に相当する事になります(勿論、無視して良いと言っている訳ではありません)。
 
(*2):J.R.Jambeck etal,:
   “Plastic waste inputs from land into the ocean”, Science, 347,
  768-771(2015)

 新聞・雑誌・学会誌等での関連トピックスの引用元はすべて(*2)に行き着きます。 この論文の筆頭筆者はジョージア大学の教授で、かって来日し、米国大使館で講演をされた事がありましたが、当時の国・学会・企業・報道機関の関心は決して高くはありませんでした
 また残念ながら四方が海洋である我が国からのこの種の調査研究の発信はごく少数の機関による近海調査のみで極めて限定的です。
 世界各国の環境省が20年以上前から訴えていたにも関わらず、"たった一本の動画" からプラスチック製品の過剰生産・過剰使用・不法処理処分の実態が暴かれ始めた事に驚くばかりです。

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