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20200628:”富岳:世界最速スパコン” の記事を読んで・・・ [ただの私見]

 富士通が開発・製作し、理研が活用主体となっているスパコン "富岳(ふがく)"が計算実力世界一位になったそうだ。
 久し振りの快挙で、素直に喜ばしい。
 そこで、当方が最初に投稿したブログ(2016年12月5日付け)の主文をここに引用させて戴きたい。
 主旨は変わり様が無いからであります(以下、赤文字=今回加筆):
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 日経紙(2016年12月1日付け)によれば、富士通が開発・制作したスーパコンピューター ”オークフォレスト・パックス” の稼働が2017年4月から本格化するらしい。
 演算速度は2京5千兆回/秒で、”京”(理化学研究所設置)の2倍相当(富岳=41京5千兆回/秒)。
 使用者は東京大学+筑波大学(理化学研究所)で、東大柏キャンパス(柏市)内に設置し(理研ポートアイランド)、大学・企業の研究開発に活用されると言う。
 制作費+5.5年リース料は凡そ72億円(≒13.1億円/年≒1.1億円/月≒360万円/日)で ”京” の1/10とか(開発経費総額≒¥1,300億)。
 商業生産されている演算処理部品(富士通開発専用処理プロセッサー)を活用して効率的な演算回路を設計・開発した成果らしい。

さて:
 演算速度は速いに超した事はないが、問題はそれを利用する中身だ。
 演算はプログラムによって実行され、プログラムは人間が書き下す。
 演算速度を速くするプログラム上の工夫はもちろん重要だが、最も重要なのは "何を演算するのか"、その "対象" と "演算論理" であり、その論理の土台となる "計算モデル" そのものだ。

 モデルの改良・完成度を高めるに当たって演算速度の向上は天気予報の精度や自然現象のシミュレーション等の分野では効果的であろう。

が:
 新たな機能の発見やそれに基づく素材・薬物・医療設計等、経験値を最大限活用する AI との連携技術に飛躍が求められ、そこには独創力豊かな人知が求められる、と考える。
 海外産の商用ソフトウェアをそのまま導入・使用して、新たな素材や薬物設計を意図しても、自然科学への理解が深く無ければ無駄な計算を繰り返しているだけ・・・の様な風景を数多く観て来た経験から、こう思わずにいられない。

 独創力豊かな研究者が、予算に縛られる事無く自由に使い、画期的な成果が生まれる事を期待したいが、公用施設利用の際には ”既定概念豊かな” 審査陣が立ちはだかっているのが普通なので、これも課題だ。

追記:
 ¥1K億を越える経費を意識してだろうか、富岳の活用を一年前倒しにしてコロナ禍対策に資するシミュレーション結果の公表が多いが、咳に伴う飛沫拡散の様子等、"素人受け/政治家受け" を狙ったタイプが多いのが気になる。

 計算科学、それも流体力学シミュレーションの経験があれば、この種の解析は富岳を待つ迄も無く、技術計算用コンピュータで実用上問題無い演算時間内で十二分に可能な筈だ。

 1~2年の内に米国&中国は100京回/秒超の演算をこなす次世代スパコンを登場させるとも言う。
 とすれば、ハードウェア開発競争よりも、"富岳ならでは" の実のあるシミュレーションを期待したいところであります。



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