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20221123:鉄道時刻表-復刻版 [ミステリ三昧]

 交通機関の運行時刻表・・・今ではスマホやPCで行き先を時刻込みで指定すれば、乗り換えを含めて最速/最安ルートまで即座に案内してくれるアプリが普及していて、使う人は激減している筈だ。
 が、最近はJTB社から折々 "記念すべき月号の復刻版" が発刊されていて、多分、年配の "乗り鉄" 者中心だと想うが、それなりの人気が出ているそうだ:
    復刻時刻表-想像で旅する昔の日本
   (日経紙:2022年11月5日夕刊)

ところで・・・:
 時刻表・・・と言えばミステリー
 本場英国では超古典の "樽" で知られる故・F.W.クロフツは鉄道ミステリを得意としていた。 尤も、"樽" 以外は脚で捜査を繰り返す超地味な事件が多く、記憶違いで無ければ故・江戸川乱歩評に依ると "退屈" だ。 確かに "読み返す気" になれない。

 対して我が国では "黒いトランク" を代表作とした故・鮎川哲也氏がこの分野を超得意とした方だし、今は昔の東京駅で13番線ホームから通しで15番線オームを見通せる夕刻の僅か数分を利用した名作
   松本清張:点と線・・・①

が秀逸だ。 作中、時刻表はそこから "数字のある風景" が描き出されるとする犯人側の心理描写が並のミステリ-とは格の違いを見せていた。
 鉄道ミステリーと言えば、
   故・西村京太郎’十津川警部シリーズ・・・②

が知られているが、①の様な蠢く社会悪を背景としたモノでは無く、スピード感溢れる "路線操り型" トリックだ・・・と言うのが老生のとらえ方。 作者最後の、と言う事は十津川警部の最後の事件となるが、それはSL山口号を舞台とした編だった。
 また森村誠一氏の鉄道ミステリーはそれはもう複雑な絡みがあって、①とも②とも全く以て味わいが違う。

 こんな、とりとめの無い連想をしながら復刻時刻表で昔を想い出すのは、それなりの年齢を経た私等の "特権" かも。
 今は "黒電話" を知らないお若い方もいると言う時代だ。 時刻表雑誌なんぞ観た事も無い方は多いのでなかろうか。 そんな時代なんだ。

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