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20201028:流出文化財の最終精算とは? [雑感]

 例の黒人圧殺事件@米国に端を発した "BLM"( "Black Lives Matter" )・・・人種差別反対運動。
 その中で、南北戦争時代の "南軍将軍" や果ては "大統領"、大西洋を渡って英国では "奴隷商人" 等の立像が倒される映像が盛んに報道されていた。

さて:
 "今の価値観" から昔に遡って "歴史を見直す" 事の困難さは自分の様な "ロートル" でも解るが、かっての歴史の中でそれなりの功績を認められた人物像が倒される映像を見て、全く別の事を思い浮かべた。

それは:
 大航海~植民地政策時代以降、当時の先進諸国が今で言うところの発展途上国から持ち去った、きれい事で言えば "流出文化財" の
   - 行方

   - 望ましいこれからの最終的精算
の事だ。

今では:
 大英博物館の様なその国を代表する文化施設で大切に保管/展示されている例が多いが、いずれかは本国へ還すのが筋で、それこそが歴史の "最終的"、かつ "不可逆的" な "清算" と言えるのではなかろうか。

 古代ギリシャのヴィーナス像、古代アナトリア(現・トルコ)のペルガモン遺跡、古代エジプトのロゼッタ石、シルクロード西域から、はっきり言えば騙し取った壁画や仏像等、はてはイースター島からのあの巨人像(モアイ)等々・・・事例はいくらでもある (*1)
 米欧だけの話では無く、我が国だって西域から多くの文化財を持ち帰っているのだ。
 浮世絵とか錦絵等でみられる様な合法的対価を払っている例もあるのだろうが、これ等はむしろ例外だろう。

 多くの流出文化財の精算については、保有国の論理(:保存保管展示で "公益" に叶っている等々)に偏らずに、流出元から観た
   "それが今日的な道義で妥当かどうか"、

等々、論点は残っている筈だと想う。
 立像が倒される映像を眺めながら、ふとこんな事を思い浮かべていました。
 歴史はいつも勝利者側の記録に過ぎない・・・とも言われる。
 老生のような素養に乏しい者にとって、是非の判断は尚更に難しい。

ついでに:
 文化財に限らず、無断で持ち去られた動植物や土壌中微生物類についても "精算の有り様" が "生物多様性条約" 締結に至る交渉会議の中で論点となった事があったと聴いている(我が国交渉事務局員から)。
 バイオ技術の進展が凄まじい今日、特定地域の土壌中から発見される微生物が超貴重な資源となり得るとの考えが背景にあるそうだ。
 そう、今や歴史の見直しについて自分にはその是非を判断しないが(;正確には出来ないが)、事の善し悪しとは別にこう言う "時流" にある事を認識して我が国トップは外交戦略を練って戴きたい。
 相当な "知恵袋" が必要だ。
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(*1)20180818:モアイ像は誰の物か?



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