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20201121:小柴昌俊氏(特別栄誉教授@東大;ノーベル物理学賞受賞)逝く [故人を悼む]

 12日に逝去。 享年94歳。
 訃報記事に依れば天寿を全うされたご様子だ。

 今では広く知られる様になった素粒子:"ニュートリノ"( "ν" )を世界最初に検出し(1987年。装置:"カミオカンデ"@神岡鉱山地下1km@岐阜県)、以後の "ν-天文学" の創出につなげ、ノーベル物理学賞を受賞されている(2002年)。
 奇しくもこの2002年にはノーベル化学賞を田中耕一氏@島津製作所が受賞され、大袈裟に言えば "日本中が湧いた"。

 カミオカンデ建設に当たっては、
   "世の中に役立つものではありませんっ!"
って仰っておられたそうだが、時の文部科学省が予算を付けたのは先見の明があったのか。
 後継者には梶田隆章教授@東大( ← 一般には今や "日本学術会議" 会長としての方が知られている・・・かも )がおられ、やはり2015年に "ν-振動" と呼ばれる現象を発見し、νが質量を持つ事を証明してノーベル物理学賞を受賞されているが、当該分野では故・戸塚洋二氏も受賞者リストに載っていた筈ともされている。
 この方は小柴教授ご自慢の天才物理学者だったと伝えられているそうで、彼の早世を嘆いておられた様だ。

 我が国の素粒子&量子力学に関わる理論分野では、
  故・湯川秀樹氏(中間子理論)・・・1949年
  故・朝永振一郎氏(量子電磁気学くりこみ理論)・・・1965年
  故・南部陽一郎(但し、米国籍)、益川敏英氏、小林誠氏
   (素粒子基礎理論打ち立て)・・・2008年
がノーベル物理学賞を受賞されてきたが、膨大な経費が掛かる実験分野での小柴氏による受賞は画期的とも言われた。
 黙祷。

追記:ニュートリノとは・・・
 所謂 "排他律" で有名な故・W.E.パウリが、見掛けは "エネルギー保存則" が成立しない "β-崩壊" と呼ばれる現象を説明する為に導入した仮説素粒子(1930年)。
 余談だが、彼は故・湯川博士が中間子の存在を予言した時、
  "そんなに新しい粒子が欲しいのか"
と言ったとの逸話を聴いた事がある。
 ν-粒子の存在に関しては、量子力学創設者の一人である故・N.ボーアが
  "β-崩壊ではエネルギー保存則が成立しない"
立場から否定的だったが、1959年迄に実験的にその存在が検証されきた因縁めいた素粒子だ。
 以上は、学部&院生時代に受けた講義のうろ覚えに過ぎません。

ついでに:
 素粒子論とか量子論に取り組む研究者は、"宇宙の成り立ち" とか "物質の根源" を追求する純粋な心を持った、世俗的な言い方が許されれば IQ の極めて高い学徒であり、実態は俗世間に塗れた日本学術会議の会長の様な肩書き職に就かせてはいけません。
 梶田教授は、内心は "迷惑" を感じておられるに違い無い。
 一日も早く解放して差し上げ、素粒子研究に専念される事を望みます。
 それこそが "学問の自由" を尊び、更に我が国の素粒子学の進展に貢献する唯一の手立てだと想わずにいられません。
 小柴氏もそう想われていたでしょうとも。
 そうですよねっ! 梶田先生!( 面識も無いのに ・・・ m(_ _)m )

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