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20211215:ライン職とスタッフ職 ・・・ 山中教授 - iPS研所長退任報道を聴いて [雑感]

 何らかの組織に所属する場合、自分が現役の頃の経験で言えばその職種を大きく分類して眺めると "ライン職" と "スタッフ職" になる。
 ライン職とは、よく知られている職位が、大雑把に観れば
  一般(:要すればペイ*2)
   ⇒ 係長 ⇒ 課長 ⇒ 部長 ・・・ 社長 ⇒ 会長

の様に序列が決まっていて、各職位にはそれぞれの使命・役割が定められている訳だ。
 一方のスタッフ職とは、ライン職位には属さず自らの持つ知識を活用する専門職で、例えば研究開発部門であれば
  研究員 ⇒ 主任研究員 ⇒ 主席研究員・・・

の様な肩書きが付いて、それぞれの使命・役割が定められている(最近は "リサーチャー" とか "フェロー" とか横文字肩書きが流行っているらしい)。
 民間企業の研究開発部門の場合、目的研究開発、即ち企業戦略に沿った課題を担う事業部門系列、即ち所謂 "ディビジョン・ラボ" と、それとは独立に研究者自らテーマ設定する "基礎研究部門"、更にこれ等の活動をサポートする物理化学分析とか文献や特許情報分析を担う "共通部門" が併存するのが普通だ。

さて:
 山中伸弥教授@京都大学が自ら立ち上げた iPS細胞研究所の所長職を来年3月31日付けで退任し、以後は残って基礎研究に専念されるそうだ(京大8日公表)。
 研究所の所長は、部門ライン職トップで、組織管理・テーマ設定・予算獲得/執行・人事・対外交渉、その他諸々の業務監督を担う訳で、研究に没頭する事はむろん出来る筈も無い超多忙かつ超激務の職位だ。
 特にここ数年は文部科学省の予算締め付けに苦労されている模様で、¥1K/月の寄付支援を呼びかけておられる程だ。

 これは即ち、国の科学技術戦略の貧困さを象徴している事に他ならない。
 いつかはお隣大陸国家に青天井予算保証の下で研究陣諸共移動の様な事態があっても "自分は驚かない"。それ程に我が国の自然科学政策は長期展望に欠けている。

 そんな中で、研究者としての本能が覚醒し、スタッフ職として研究活動に専念したい想いが沸々と湧き上がったのではなかろうか・・・と善意に推察する次第です。

 現下のコロナ禍の下で世界中から報ぜられる論文を収集し、整理して私らに優しく解説されておられたが、その過程の中で何か "閃いた" アイデアがあったのでは・・・としたら、成果が楽しみですネ。