SSブログ

20220312:西村京太郎さん逝く(作家) [故人を悼む]

 3月3日に逝去。 享年91歳。

 数え切れない程のトラベル・ミステリを書き下された方だ。
 なんと言っても
   寝台特急殺人事件・・・①

が発端で、評判を呼んだ。
 布石の張り方も良かったし、トリックも当時としては斬新だった。
 TVドラマ化も複数されていて、自分はその最初の作品(十津川警部役=故・三橋達也編)が印象に残っている。
 今の様に "ケータイ" が無い時代、列車を乗っ取った犯人側の数を乗車した刑事に知らせるのに、三宮駅(?)だったか、そのプラットホームに駅員をその数だけ並ばせる場面は秀逸だった。
 いくつものTVドラマ化がされたが、この場面を超えるモノは無かった・・・は老生は感じております。

 故人は鉄道ミステリの草分けだけど、創作活動初期には
   D-機関情報(情報員モノ)・・・②
   殺しの双曲線(一卵性双生児トリック)・・・③
   名探偵シリーズ(世界の名探偵集合モノ)・・・④
   天使の傷跡(乱歩賞受賞作品:社会派モノ)・・・⑤
   ・・・

の様な傑作を多数残しておられる事を覚えておきたい。

 今ひとつ、我が国がまだ健全な経済発展を迎えつつ "21世紀をどうあるべきか" を問うた総理府公募に創作部門で応募し、最優秀賞を受賞した
   太陽と砂・・・⑥

を忘れてはなるまい。
 ここに出てくる "砂漠を何とかしよう" とする試みは、衣を変えて今やグリーン水素製造プラント構想としてEUが取り組んでいるプロジェクトによって実現されようとしている(*1) 事を想うと、故人の先を読み取る感性には驚くばかりだ。

 鉄道ミステリが余りにヒットしたが故にそれ以外の分野でもトップクラスの作品群が多数ある事に目を向けて欲しい・・・とは老生の捉えです。
 因みに老生は③が故人の最高傑作だと想っています。
 ④も楽しい。
 ⑥に触れた訃報記事が見当たらなかったのは寂しい限り。

 正に巨星が旅立たれた感じです。
 黙祷。
-----
(*1)20211005:まるで衣を変えた植民政策みたいだ(グリーン水素@アフリカ)

共通テーマ:日記・雑感