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20200125:・カーボン・”ネガティブ” [雑感]

 “カーボン・ニュートラル” は良く見聞きするが、実は “カーボン・ポジティブ” とか “カーボン・ネガティブ” と言う概念も当然ながら存在する。

 特定の事象に対して “そもそもの事の起こり⇒最終処分” 迄の
   二酸化炭素(換算)排出量=A
   二酸化炭素(換算)吸収量=B

とした時、
   A>B・・・カーボン・ポジティブ  ・・・①
   A=B・・・カーボン・ニュートラル(R) ・・・②
   A<B・・・カーボン・ネガティブ ・・・③

と言う(実は “カーボン・ニュートラル” と言う用語は “商標” 登録されている)。

 一般にライフ・サイクル・アセスメントLCA)手法でAとBを評価して①か②か③を判断する。

 ESG経営が当たり前になっている今の時代、大きな企業では自社の総活動の結果が①の場合、”A-B” に相当する分をお金で買い取る排出権取引制度を利用して②に漕ぎ着けるのが普通だ。
 ③の場合では “B-A” を売りに出す事も出来るし、自社はこれだけ二酸化炭素を減らしたと広報して、ESG投資を呼び込む事も出来る。

 ③を実現する上では、極力Aを減らす一方でBを増やすしかないが、"B↑" する為には自前の植林効果等が有効とされる(*1)

 この度、③を宣言した巨大企業が現れた。
 マイクロソフト(MS)社がそれで、2030年迄に実現させるとの事だ(1月16日宣言)。
 MS社のAは1600万トン/年(2020年)と見込まれていて、データーセンターを運営する為の使用電力等が大きいそうだ。
 今後は "A↓" を目指して全てを再生可能エネルギー使用で賄い、クルマ等でも一切枯渇性エネルギーは使用しない方針だそうだ。
 更にサプライチェーンを構成する協力企業へも同様の努力を要請すると言う(巨大企業ならではの否応無しの要請だ)。

 既に②は当たり前で、③を宣言しないとESG投資家の関心を呼べない時代に入っているそうで、日本ではあまり話題になっていないものの、それでも世界展開する富*通やパ**ニック等のハイテック企業は果敢に取り組んでいる模様だが、未だ③の宣言には至っていない。

 米国って国は大統領が無関心であっても、先端を行く企業マインドは全く別を向いていると言う事だろうか・・・戦時下を除けば決して一枚岩ではない、それこそ “自由の国” ・・・ なんだ。
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(*1):因みに手入れされた青年杉(樹齢≒50年,樹高≒30-50m)の林では大凡
   300トン/ha/年
程度の二酸化炭素を吸収していると推測されています(人工林の置かれている環境によって多少上下する事から諸値あります)。


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