２０２１０６２１：根岸英一さん逝く（ノーベル化学賞受賞）

　６月６日に逝去（在・米国）。　享年８５歳。

　Ｐｄ（パラジウム）触媒による "クロス・カップリング反応" の実用展開により２０１１年ノーベル化学賞を受賞（鈴木章名誉教授＠北大と共同受賞）。

　異なる有機化合物の炭素原子同士を結びつけて "化学屋が頭に描いた設計通りの分子" を合成する・・・その実用化はＰｄ触媒の発見によって端を開いたとも言われ、医薬品や液晶、発光素材等々、その応用範囲は極めて広く、今日の機能素材の有機合成の基本ルートとも言える。

　受賞後に来日された時、これからは "人工光合成" 反応に関心があると言われていた。
　クロス・カップリング反応や人工光合成反応分野で日本人化学者が活躍している今を、米国の地からどう眺めておられていたのか。
　３年程前に自動車事故で同乗されていた奥様を亡くされ、それ以降体調を崩されている・・・との報道記事を見ていたが、今回の訃報記事では残念ながら完全なご回復には至っていなかった様だ。

　この方は、
　　　東大工学部卒 ⇒ 帝人入社 ⇒
　　　　ペンシルベニア大学留学

され、そこで終世の恩師を見つけてパ－デュ－大学にとどまって学問の徒となられた方だ。
　それを認めた帝人も偉かった・・・と言えるのでは（今の日本企業にそれ程の余裕はあるまい）。
　黙礼。