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20190206:”統計不正@厚生労働省” のニュースを観て&聴いて [ただの私見]

 “毎月勤労統計調査” に端を発した厚生労働省の各種統計調査の不正・不適切問題が連日国会で審議され、ほぼあらゆる媒体で報道されている。

 確かに不正・不適切の指摘・糾弾はもっともで、早急に法に基づいた再調査を進め、また厳しい責任を取らせるべきだと想うが、自分には “それだけではこの問題は解決しない” 感じが拭えない。
 つまり、不正・不適切な厚労省側、指摘・糾弾する側、更には報道側もあまりに “統計学を知らなさ過ぎる” 点だ。

確かに:
 法律を含む調査要綱で大規模企業 “全件調査” である事が定められていたにも関わらず “抽出調査” で済ませていた事が明るみに出て、果たして我が国の賃金動向が何処迄正しいのか、過去15年間程のデーターが怪しくなっている。
 “アベノミクスの成果” は確かなのか?・・・なんて事になったら天地がひっくり返る事もあり得るのだ。

情けない事に:
 この問題を調査した “外部有識者” と称される方々の “特別監査委員会調査報告が実にいい加減で、実態は厚労省役人へのヒアリングは同省幹部列席の “監視下” で実施された上、同省役人が記した、要するにお膳立てしたモノだった事が暴露され、再調査に追い込まれている始末だ(本原稿執筆1月31日時点)。

 特別監査委員会代表なる方の記者会見を観て&聴いたが、
  「この方、”五輪パラリン担当大臣と同じ” だ」

とすぐ感じとった。 つまり “お偉くなってからは” 報告書等を含めて凡そ作文なぞ一切せずに全て部下任せで済ませているなっと。
 そんな調査を基に “組織的隠蔽はなかった” と言っていたが、その根拠を示す事は出来ないでいた。
 要するに “その程度の外部有識者” だった訳だ。 だからこそ “そこを見込んで” 厚労省側も選んだのだろうて。

 その上悲しい事に、厚労省ではちょこっと前に “働き方改革” に絡んだ “労働時間調査” でも不正確さが糾弾されたばかりだったのだ。

でも:
 どうしてこうも疎かな統計調査ばかりなのか。
 報道では “担当する役人が足りない” との指摘もあった。
 事実だろうが、その前に “統計学の専門家” が不在なのではないか。 いても “その重要性が認められていない” のではなかろうか。

 自分は、厚労省に限らず中央省庁を始め日本全国各自治体の(統計)調査部門が正当な人事評価を受けているとは想えず、”傍流扱い” だったのだろうと睨んでいる。 若しくは民間へ丸投げしているのでは?
 何処でも “主流” は政策・施策の企画実行部門で、その縁の下部門は冷遇されているのではなかろうか。

“統計学” を学んだ経験があれば:
 これは “実学ではあっても、決して易しい学問では無い” 事が解っている筈だし、実際の社会現象へ適用する際の留意事項が数限りないと言って良い程ある事も承知している筈だ。

 調査対象を全件として工数をかければ得られる結果を、経費も含めた “効率化モデル” を立てて “母集団から標本を抽出” させる手立てはそう “簡単な作業では無い”。
 多数のデーターから平均値を求める事だけが統計調査の本質では無い。 モデルの限界を見極めながら求値の精度を十二分に考慮した考察こそが必要だ。
 決して “素人に出来る作業では無い”。

 総務省には “統計局” があるのだが、省庁自治体の枠を越えてどれ程の権限を持っているのだろうか。
 あろう事か、3日(日)朝刊各紙には、この統計局自体が担当した統計調査の多くも不適切・乱暴な取り扱いで済ませていた事が暴露されている始末だ。

 自分は、統計調査の不正・不適さは、今回の厚労省に限らずに調査部門を “軽視” し、”冷遇” してきたツケが一挙に吹き出た結果に過ぎない・・・と想わざるを得ないのです。

 時間はかかっても統計学専門家を揃え、権威・権限を与えて優遇し、彼等の手腕を “忖度等無し” に思う存分奮わせる事が唯一の解決策だ・・・と自分は考えます。

ついでに:
 それでも我が国の諸々の統計調査結果は、これ迄アジア地区で最も信頼されて来た筈だ。
 お隣大陸国家のGDP(国内総生産)値等は、”海外向け公表値” と “内部向け実態値” があって、その信頼性があやふやな事は周知とされている(参照:日経紙2019年1月10日付朝刊オピニオン:”建国70年迎える中国の憂鬱”:署名記者=飯野克彦上級論説委員)程だ。

 今回の厚労省の不正・不適切統計調査事件によって、我が国の統計調査信頼性が怪しくなり、国家の “品格” にも繋がりそうなのがとても残念です。


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