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20171221:水増し請求 [ただの私見]

 先端技術を搭載するスーパーコンピュータの開発分野で著名な人物が実質的に国からの委託/補助研究開発事業で "水増し請求" したとして逮捕されている(2017年12月5日)。

 著名人物だと言うので各紙大きな扱いだったが、自分はむしろ水増し請求を見抜けなかった担当者側の "手ぬるさ" の方に驚いた。

 と言うのも、某省所管財団法人へ出向、機能性新素材の開発・実証・広報・普及に関わる研究開発事業を担当し、複数の省からの委託、乃至は補助事業を推進してきた経験から申し上げれば、委託元/補助元部署担当官による会計検査はとても厳密で、
  -出勤簿&作業日誌(従事した時間帯の10分ないしは15分単位の詳細記録)
  -会議/委員会等記録(含・詳細な発言記録&出席乃至は出張報告書)

類の精査は勿論、出費案件については、一件ごとに
  -その必要性(現状+外部と内部環境+強みと弱み分析を含む)
  -契約書類
  -出費先明細(選定理由+沿革+組織構成+過去5年間分の総会記録+決算書等)
  -見積依頼書&見積書(以後の交渉経緯を含む)
  -注文書&その受領書
  -納品書
  -検収&承認書
  -支払書&受領書

の全てが整合している事が必要だ(特に必要性・選定根拠・発生額等の妥当性と作業日誌との整合性が密に精査される)。

 一事業の総件数は優に100を超え、大きなプロジェクトでは1000件すら越える場合もあり、その書類は積み重ねると数㍍の場合もある。

 正直に言って伝票管理だけでも大変な作業工数で、水増し請求なんぞ "入り込む余地がない" 仕組みだ(さすがにJRとか私鉄本体の総会記録は不要だが、乗車記録は運用時刻表・運賃等を含む詳細が必要。移動にタクシーの利用は認められず、その場合は自己負担が原則)。

 会計検査は、金額の多少に関わらずに出費先へ出向いた精査も有り、加えて会計検査院による再度の精査が行われる事もある。
 いずれも一日では終わらない検査側も受ける側も "重労働" だ。

 事実だけに基づいて必要書類を整理整備しておけば何の問題も発生しないし、こちらにやましいなんて事が無いから、どんな質問にも落ち着いて対処出来るというものだ。

 今回のスーパーコンピュータ関連研究開発事業では専門性が著しく高いとは言っても、出費に関わる必要書類は必ずしもその専門性を必要とはしない筈で、担当官の "甘い検査" を見越しての誤魔化しだったのだろうか。

 それに、報道に依れば、開発済みの製品が新たな試作品として費用請求されていたらしいが、これなんぞ、現地に出向いて実物や運転日誌を精査すれば見抜ける筈だ。
 現地に出向く検査を怠ったのだろうか。

 先端技術を開発してきた実績のある技術者だっただけに残念な気持ちです。

因みに:
 NHKのTV番組:"プロフェッショナル 仕事の流儀" は、たま~に観る時があるが、今回逮捕された人物編が近々放送される予定だったらしいが、お流れになったらしいです。