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20230623:”森” 違い(日の本の国の ”森” & 森に住む人々の国の ”森” ) [雑感]

 気になる記事が眼についた:
   ドイツの森林官 - 医師並みの人気
    -多様な色彩、明治神宮の森のモデル
   (日経紙:2023年6月14日付け朝刊国際紙面)

 ドイツの森林が持続可能な形で維持管理され、見守られているのに対して、日本では・・・って調子の "外国礼賛" 内容になっている事が気になった。

 チコッと待ってくれ。
 ドイツは基本的に一部の旧東独/旧西独境界線に沿った低い山並みとライン河等沿いの一部岸壁、それにアルプス山脈裾野である南部を除けばその大部が平坦で、運河が国中を縦横に走っている位だし、自転車で全国を走り回る事が出来る程の欧州における自転車王国の一つだ。 有名な "黒い森" では自動車進入が禁止され、自転車道路が整備されているなんぞは、逆立ちしても我が国にはそんな地理的環境そのものが無い。

 我が国は急峻な山岳地域が殆どで、海岸沿いの僅かな平坦地域(: その殆どが "ブラタモリ" で知った "扇状地帯" と言う奴だ)に "しがみついて" 暮らしているのが私等の基本で、山岳地域にはチコッと拡がる盆地とかに住み着いているに過ぎない・・・自虐的な言い方で m(_ _)m だけど、ドイツ文学者で多面的展望からドイツと言う国とドイツ人を考察して来られた故・小塩節氏(おしおたかし;2022年5月12日に逝去。享年91歳)の言でもあります。
 そんな急峻な山岳地域の森林管理の難度はドイツの比では無い事を無視してはならない。
 
加えて:
 ドイツ国土を表すドイツ語:"Deutschland" は、
   森に住む人々の土地

の意から来ている程に、国の成り立ち自体が森林と縁の深い事を知っておく必要がある。 "だからこその森林官" なのだ。

 この様な歴史的かつ地形的な背景を無視した礼賛記事が今の時代に全国紙に掲載される事自体に驚いた次第デス。

付記:
 "明治神宮の森" は天然ではなく、明治/大正/昭和の時代の人々が1K年続く設計に基づいた人工森林で、その維持管理を含めた詳細が今は昔NHKTVで紹介されていた。
 一方の神宮外苑は明治神宮の内苑に対する外苑であって、その基盤を明治神宮が管理する地域であり、あの有名な銀杏並木も遠近法を意識した人工設計物だ。
 内苑も外苑も持ち主は宗教法人たる明治神宮であって、東京都が管理/干渉出来る部分は限られている筈だが、内苑&外苑の "森林" を愛でる人達が再開発計画に "待った" をかけるのは良く理解出来る。
 税金で保護されている神宮内苑/外苑であれば国か自治体へ抗議するのは当然だが、現実はこれら内苑&外苑の維持管理は所有者である神宮側にある。 その負担額がどのくらいか想像も出来ないが、宗教法人とは言え、恐らくは耐え切れ無くなっての再開発計画が民間デベロッパーによって具体化されてきたのだろう。
 抗議の宛先は国や自治体では無くて明治神宮なのでは・・・そんな感じを抱いていた折も折に冒頭記事が眼に付いたのでした。
 愛でる側も、愛でるだけでは無く、維持管理にも責任を持たなくては・・・と老生は考える。

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