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20210513:ワクチン製造特許 ”放棄”(コロナ禍) [ただの私見]

 こんな問題提起をEU委員会WHOがしているとの報道(連休中)。
 米国大統領やフランス大統領は賛成している様だが、製造元のファイザー社やモデルナ社は反対。 またビオンテック社を国内に抱えるドイツ政府も反対だ。 ワクチン製造企業を抱えるロシアと中国は例によって意見表明していない。

 "発展途上国へワクチンが行き渡っていないから" ・・・ が理由だそうだ。
 表向きは "人道上尤もだ" ・・・と想えそうだが、若しそうだとしたらEUもWHOも含めて考え違いも甚だしい。 或いは、解っていながらの論点すり替えだ(EUは加盟国内配布が滞っている。WHOは開発途上国からの要請に対応出来ていない)。

 行き渡らないのは
   "生産量が需要に追い付いていないから"

であって、特許を一時的に解放したところで、
  ①現実に生産しようとしても技術力のある企業でしかそれは出来ないし、
  ②製造設備は一朝一夕で整備出来るものではない上、
  ③ボタンを押せば後は全自動で "一丁上がりっ!" ・・・ って訳でも無く、
   そこにはそこら中にKH(ノウハウ)があるのが普通だ。

 従って、現在の生産量を可能な限り増やして供給量を↑するしか手は無いのが現実であり、EU委員会やWHOが考えるべきは "配布の公平性" の方だ・・・と自分は考えるのです。

ところで:
 ファイザー社とかモデルナ社等の特許が開放されても、我が国ですら直ぐに量産出来るかと言えば極めて限定的だ(アストラゼネカ日本法人が国内生産するだけ)。
 ウイルス研究/ワクチン開発を国家安全保障/危機管理戦略として位置づけせずに放っていたツケ以外の何物でも無い。 何せこれ迄は米国にオンブに抱っこで国防して貰っていたんだから、そして、万が一の時には我が国には "神風が吹く" 信仰があるので、考える痛痒を感じていなかったんだろう。
 仮に数年後かに現下のコロナ禍が一見して収束したとしても、我が国が "再考" するとは想えない。 かっての新型インフルエンザ流行からの反省と対策が立派な報告書としてまとまっていたが、喉元過ぎれば・・・を絵に描いたように "棚晒し" されていた事を想い起こせばそうなる。

お話を元に戻って・・・:
 ロシアや中国、更にインド(←世界のワクチン製造請負大国)や韓国(←ロシア開発ワクチンを製造し輸出)は既にワクチンの量産国だから、ファイザー社等の特許が開放となれば、ウイルスのmRNAから肝心要のタンパク質合成塩基配列を特定し、切り出し、製薬化するバイテクの "肝" を無償で毟り取る事が出来る・・・訳だ。

そうなったら:
 我が国はます*2 "ワクチン敗戦国" になってしまう事すら考えられる。

 現役時代に素材メーカーに勤めていた自分は特許の重要性が身に染みついている。 知的財産権は技術革新のドライバーの一つである事の理解を願うばかりです。

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