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20210711:製造業のダークサイド(三菱電機’不正検査/出荷事件を眺めて・・・) [雑感]

 キャッチコピーが "安かろう/悪かろう" から "安いけど/良いぜ" の日本製品へ切り替わった事が我が国の高度経済成長の背景だった筈だが、近年の製造業でバレ*2になった不正事件には "三つの要因" が潜んでいる・・・とは日経紙の分析だ:
   "製造業に潜む3つの影"-三菱電機不正で浮き彫りに
     - 品質への過信・・・①
     - 組織防衛風土・・・②
     - 工場の老朽化・・・③
   (日経紙:2021年7月4日付け朝刊総合5紙面)

記事では
   - 新日本製鐵(当時;現・日本製鉄):鋼管データー捏造
   - JEFスチール:〃
   - 日産自動車:手抜き検査
   - 神戸製鋼所:検査証明書改竄
   - 曙ブレーキ工業:〃

等々の事例が紹介されていた。
 これ等一連の不正事件の背景が上記の①~③との指摘だ。

① 品質への過信:
 素材企業で現役を過ごした自分の経験に過ぎないが、製造側では安全係数を高めに設定した "過剰" 品質を達成しているとの認識があるのが一般的だ。
 それと手抜き検査&出荷は別問題だとは自覚しているものの、いつのまにか "過信" が生まれる訳だ。 競争相手に対しての "自惚れ" もあるんだが・・・

② 組織防衛風土:
 これは製造業に限らずに全ての組織体に当てはまる体質で、そう簡単に無くなるもんでは無い(筈だ ・・・ (>_<) )。
 それが "病的" に迄染り、根付いてしまった時、"風土" と言う用語が使われる。 社内研修で何度も受講した事、覚えている。

③ 工場の老朽化:
 1990年代以降の我が国製造業現場の課題と指摘されて来ているが、所謂バブルがはじけた時期と重なっていて更新が滞っているのが現実だ。
 例えが悪いのですが、高度経済成長期に国や各自治体が整備してきた "橋" 等の社会資本の劣化が著しく進んでいるにもかかわらず補修/更新出来ていない事を思い浮かべてしまう。
 "やばい" ・・・ 現実です。

 こう見て取ると、製造業の劣化問題は我が国だけの課題とも想えない。
 事実、物造り先進国とされ、長い間お手本と仰いできたドイツにあっても、VW社のディーゼル車燃費捏造事件が発生している。 ドイツとて、恐らくは①が背景にあるのだろう。

 ①の抜本的改革は現場主義が優先される製造業では無理だと想う。
 大体が技術力の高い部署に限って鼻息が荒いのは、恐らくは洋の東西を問わない・・・って訳で、これからも国籍とは無関係にこの種の不正事件が無くなる事はあまり期待出来ないのでは・・・チコッと悲観的過ぎますが、老生はそう想いまする。

本当に蛇足ですが・・・:
 我が家に設置している複数のエアコンの中で一番古いのが本件の企業製のだ。
 15年以上も経っている筈だが、この間に故障した事が無い。 暖房/冷房/ドライ運転に何の差し支えも無い。 新製品は電気消費量が著しく減少している筈だが、更新する気が起こらない。
 別にこの会社とは何の繋がりも無いが、少なくとも我が家のエアコンについては問題を感じていない。

もう一つ:
 件の会社は海外へも不正検査した部品/製品を輸出しているとの事だ。
 この種の契約では必ず "瑕疵(かし)条項" がある筈で、その解釈次第になるのだが、安全性に関わる事だけに契約違反と訴えられる可能性もあるのではなかろうか。 そうなると大変だ。

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