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20180705:先陣争い(素材開発) [雑感]

 本日は、ある意味、物性物理学史上の画期的な発見と発明に関連したエピソードに立ち会ったと言う昔話です。

 希土類(レアアース)元素を含む人工永久磁石は極めて強い磁力を発生し、多種多様な機器の要の部材・部品として使われているのですが、我が国はこの磁石開発を得意としていて、有名な "KS-鋼" (本多光太郎博士@現・東北大学:1917年)から "フェライト磁石"、次いで "アルニコ磁石" 等の開発を経て、近年には現時点で最強の "ネオジム磁石" (Nd2Fe14B)を開発している。 所謂ハイブリッド・カーとか次世代とされる電気自動車もこれなくして実用化は難しい程の快挙に違いない。

 ネオジム磁石は佐川真人博士(住友特殊金属;現・日立金属)がその組成を発見し、工業化技術を開発された(1984年)事が定説だが、"いささかのエピソード" を自分は傍観しており、時に新聞・TV・雑誌等で特集報道(特集事例:日経紙:2018年5月12日土曜特版)を見聴きする度に想い出す。

 当時、日本物理学会か応用物理学会、或いは磁性学会だったか忘れてしまっているが、年次大会で佐川博士の口頭発表に対して髙*某博士(東*大学教授(当時))がその "理論的根拠" を質問され、"自分こそがその発端を切り拓いた" とのクレームの様な質問をされた場面に立ち会った事があった。

 Ndを含む合金組成で超強力な磁石性能が発現される機構はその時点では明らかにされておらず、まるで "学/産の間で先陣争い" の様な印象を受けたのです。 学の分野からは新たな磁性(工)学の誕生、産から観れば超高機能磁石素材の独占的製造権が期待されていた折り、"会場も緊張" していた事を覚えているのです。

 今は昔の話で、"節度ある関係者" は何も言われない様ではありますが、自分は "新素材開発史の舞台裏" を垣間見た想いが未だにしております。


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